制御工学博士の日常+備忘録

ようやく制御工学で博士を手に入れたので真っ当な人間になるべく研究以外の事とか色々と備忘録的にやっていく。そんな感じ

制御工学で博士号を取るまでに研究室で心がけてきたこと

どうも。kwaz6です。

今回は大学院の修士から博士課程までで私自身がしてきたこと。心がけてきたことをまとめていきたいと思います。
 

 博士号までの道のり

まず、私の博士号取得までの道のりをざっくりと説明したいと思います。

私の流れとしては高専入学⇒高専卒業⇒大学3年次編入学⇒大学学部卒業⇒大学院⇒修士2年間+博士課程3年間で学位取得です。

 

上に書いてあるように私は元々高専出身だったので、大学へは3年次に編入することにしました。

高専って何?って人がいると思いますが、高専は5年間ある理系のための専門学校って感じです。ざっくり説明すると中学を卒業してから普通は高校1年生になると思いますが、そうではなく、高専1年生として入学して、5年間一貫で通う学校になります。なので、高専5年次では大学2年次相当のレベルになります。つまり工業高校と大学の間のレベルを育成する学校です。(そこから他大学へ編入学が可能となるのですが、ここは大学によっては2年次だったり3年次編入だったりは変わってきます。)

 

私は新潟の大学の方に3年次編入をしました。高専からずっと博士号をとるまで制御工学が一番好きで、気が付けば学位を取っていたって感じです。

 

 

研究室での研究生活

それでは次に実際の研究生活を振り返ってみたいと思います。

研究室で研究を始めた時期から振り返るとまず、研究室配属は大学3年の12月からでした。当然始めに研究テーマをいくつか研究室の先生に選んでもらいその中から選ぶという感じでした。私は初めにモータドライブとハプティクスをベースに学習を進めて、その内、ロボットのモーションコントロールに研究の興味が移っていったわけです。

 

研究生活で心がけていたこと

研究生活でうまく研究して卒業まで行くというゴールを目指したときに心がけていたことを箇条書きしたいと思います。

  1. 論文が出せる学会や論文誌は何が有って締め切りは何か知っておく。自分で出す学会を決めておく。
  2. 研究分野の最先端から有名な理論やその論文を知っておく。
  3. ざっくりと論文誌にする構成を最低5つは考えておく。
  4. 自分の研究以外にもアンテナを張って、他テーマや他分野の研究テーマにもアンテナを張る。
  5. 報告会以外にも報連相をする。
論文が出せる学会や論文誌は何が有って締め切りは何か知っておく。自分で出す学会を決めておく

一つ目は、研究室に配属されて色々と先輩や先生から聞くと思いますが、研究室の先生の方針によっては決まった学会や論文誌に出すことが多いです。制御工学の分野だと産業応用部門とかSICEとかそういうった所に出しているのかなと思います。

学会発表に関しては基本すべての出せるところに出そうと考えると大体2か月に一回締切が来るって感じでした。国際会議、国内学会を含めると年に3~5回は学会発表ができるチャンスがあったという感じですね。逆に学会発表しすぎて研究が進まないなんてこともありましたが。

論文誌も同様のところに出す感じだと思います。私の方はIEEEや電気学会論文誌のD部門を主に投稿していました。

修士課程までは正直論文誌の事はうまくいったら書こうという感じに思っておけばいいと思います。ただ実際は修士で卒業するのであれば、論文誌は会社では役に立たないらしいので無理して出さなくてもいいのかなと思います。当然研究者目線で言えば、せっかく研究した成果なので論文にまとめて業績を世に残すというのは、学術的にもデータベースに自分の名前が残せるという意味でも良いのではないかと思います。

 

●研究分野の最先端から有名な理論やその論文を知っておく

2つ目は、自分の研究テーマの重要性やこれまでのアプローチを知ることで、発案した提案法が本当に提案法なのか。それとも元々提案されているものなのか知ることができるという点でとても重要となります。特に、そのテーマの昔からやられていて有名な理論は絶対に知っておくべきですし、最先端の論文に関しては常に入れておかないとその研究から置いていかれてしまいます。特に博士号を取るということはその分野一定の専門性と新しい学術的な発展に貢献するということになります。つまり、自分自身が最先端だということができると思います。当然、ある制御目標に対するアプローチは様々ありますので、その中で差別化するためにも最新の情報には常に触れ続けていく必要があると思います。

 

●ざっくりと論文誌にする構成を最低5つは考えておく

3つ目は、論文誌を投稿するための提案手法となるネタを準備しておくということです。提案法なんてそう簡単に思いつかないと思う方もいるかもしれません。私も最初はそう思ってました。でも論文をたくさん読んだり、再現したりしてみると意外と「ここどうなってるんだ?」とか「ここ改善したらもっとよくなりそう」とか結構出てきます。そういうところを一つずつ自分の中の疑問を解消していくことで、自分の研究テーマに対する提案法のアプローチをいくつも考えることができるようになります。(当然ハズレもあります。)

 

博士号取得まで基本的に論文誌2本以上はアクセプトしないとダメだと思いますが、リジェクトを受けることなんて普通にあります。そういう点を考えると、やっぱり数打ちゃ当たるではないですけど、卒業の期日に間に合わせるためにも数多く論文誌になりそうなネタを考えておくべきだと思います。

 

●自分の研究以外にもアンテナを張って、他テーマや他分野の研究テーマにもアンテナを張る

4つ目は、他の研究にもアンテナを張るということです。ここが案外重要なポイントだと私自身は思っています。

なぜ重要かというと、他の研究は自分が今やっている研究とは制御対象もアプローチも全然違うものが結構あります。Ex)モータドライブ、パワーエレクトロニクス

 

しかし、自分のテーマの研究ばかりやっていると、その内行き詰ってしまう時が必ずやってきます。そういう時に他の分野の知識というのが役立つと気があります。元々は情報系の技術だったものを応用してみたらすごくうまくいったとか。こういった状況を作るにはやはり他分野に対してもアンテナを張っておくというのは重要だと思います。

 

●報告会以外にも報連相をする

5つ目はこまめに報連相をする。ということです。

この報連相が卒業に最も大事な要素だと思います。博士号を取るまで今の研究室で約7年先輩から同期、後輩までたくさん卒業や退学、留年を見てきましたが、報連相がほとんどできていなかった人は私の知る限りみんな留年したり、鬱になって学校をやめたりっていう結果になっていたと感じています。

逆に報連相が頻繁な人はすごい成果がたくさん出せていて、結果大きな恩恵をたくさん受けていたように思います。(私もそのうちの一人だと勝手に思い込んでいます。)

 

報連相がなぜ重要なのかというと、ほとんどの人が知っていると思いますが、アウトプットとフィードバックができるということに尽きると思います。

 

まず人間は知識の定着をする際に最も効率が良いのが学んだことを相手に教えるということです。これはその内容を熟知していないと説明できない訳ですから、当然説明できるということはその内容を理解している。つまり、研究の報告では、自分の研究がここまでできていて、こういうところが今できていない、問題だという認識ができていることになります。そして、相談することによって研究分野に精通している先生方が幅広い経験からアドバイス(フィードバック)が貰えて、さらに研究を進めることができるようになります。これを頻繁に繰り返すことで相手に自分のテーマを認識させることもできるし、自分は相談をすることで、問題を明確化できるようになり、問題解決がスムーズになります。これは研究に限らず、仕事でも全てに通ずるものだと思います。したがって、報連相を常に自分や相手に継続して続けることによって物事をうまく運ぶことができ、それが卒業というゴールに繋がることになります。

 

研究を頑張ったことで受けた恩恵

さて、次に私が実際に研究を頑張ったことで受けた恩恵について話したいと思います。この内容が研究のモチベーションに繋がってくれたらうれしいです。

  1. 海外に格安でいける
  2. 実績次第では学振、給付型奨学金奨学金免除が得られる
  3. 就活に有利になる(かもしれない)
●海外に格安でいける

まず一つ目が、海外に格安でいけることです。これは完全に研究の動機としては不純かもしれませんが、私の一番の研究のモチベーションに繋がっているのが実際、「海外に格安でいける」ということです。制御工学が好きだけなら趣味で研究してればいいじゃん、ってなるわけですが研究を頑張るメリットはやはりここになるわけです。私がこれまで言ったところを数えるとヨーロッパ圏2回、アメリカ圏1回、南半球(ニュージーランド、オーストラリア)2回、アジア圏1回の計6回になります。修士からですが、博士卒業まで毎年海外に行っていたということになりますね。

研究室の資金力にも依存するかと思いますが、私の研究室ではご飯代以外全てが研究費で支払われていました。これはかなり恵まれていると思っていますが、結局ご飯代・お土産代しか払わなくて良いなら特に修士で卒業する人はチャンスがあるなら頑張って研究して国際会議に論文を投稿した方が良いと思います。当然日本人は英語ができないと言われていますし、英語が嫌いな学生もたくさんいると思います。社会人になったら海外に行くことはできるかもしれませんが、格安で4,5万程度の娯楽代のみでヨーロッパとか行くなんて普通はできることじゃありません。英語ができないとしても海外に行って日本に住んでる自分は恵まれた環境にいたんだとか、逆に海外で生活したいとか英語をもっとやろうとか、そういう自分の価値観が変わったり、モチベーションにつながったりするかもしれません。自分の人生で何がきっかけで変わるかなんて誰にも分りませんが、挑戦するチャンスがちょっと研究を頑張るだけで手に入るなら安いもんですよね。

ちょっと長すぎましたが、次に行きたいと思います。

 

●実績次第では学振、給付型奨学金奨学金免除が得られる

2つ目は、金銭面です。最近の学生(自分も含め)は昔と違って貧乏です。ほとんどの学生が奨学金を借りて大学に通ってるのではないでしょうか。大学生活を真面目に研究等に費やしている方にとってはこの金銭面のストレスと軽減するだけでも大分メンタル的にも楽になると思います。博士課程に行く人は特に一般的な人よりも長く学生をやるわけなのでお金は大切です。

博士課程に行く人は特に、学振と呼ばれる月20万が貰えて年間100万ほどの研究費が使える制度があります。これは翌年所得税が発生するので、私個人としてはメリットを感じません。アカデミックの分野では先生方に聞くと、研究者として箔が付くし、科研費や昇進などに有利に働くということは聞いております。

ただ、学振は昔からずっと支給が変わっておらず、尚且つバイトや奨学金すらもダメになるので、現代においては生活が厳しい代物だと私は思っています。

箔が付くとか、科研費に有利になる。という点では素晴らしい物とは思いますが、博士課程卒業後にアカデミックに残るつもりがないのであれば、給付型奨学金を選ぶのが良いと思います。給付型奨学金も当然学振よりは簡単ですが、小論文や研究計画書等々を書いて提出する必要があります。しかしながら、奨学金ですので、月に3万,6万,10万など様々ありますが、全て所得税になりません。つまり、税金がかからずに生活費等に利用できるようになります。私の場合は付き5万のRAに加えて、第一種学生奨学金12万(機関補償有)、給付型10万の合計27万を支給されていました。

学振の月20万しかもらえず、所得税も発生することを考えると給付型奨学金の方が月あたりの生活費に余裕がありますね。

 

ただし、一点注意があります。それは学生奨学金です。こちらはただの借金ですので、返済する必要があります。たまたま、私の場合は研究をかなり頑張ったおかげで、発表章だったり、色々とあったおかげで、博士課程の分も奨学金が免除になりました。

研究をかなり頑張るのであれば、もし第一種奨学金を借りている人は研究を一生懸命頑張って免除を目指すのも良いのではないかと思います。後々わかりますが、企業に就職してからもっと勉強すればよかったという研究室の先輩・同期・後輩は山ほど見ました。

 

●就活に有利になる(かもしれない)

3つ目は就活ですね。研究室の研究テーマによっては共同研究を企業と行って、共同研究がらみで就活がすぐ終わる人もいると思います。また、研究を頑張っておいて志望する就職先にマッチしているなら研究実績はかなり有利になるのではないかと個人的に思います。特に、研究というのは答えの無い物なので、色々失敗だったり、試行錯誤して苦労した思い出は面接の話すネタとしてはかなり良いのではと思います。ただ、日本の就活事情を考えると、コミュニケーション能力が日本の企業では最も重要視される要素らしいので、研究だけだとコミュニケーション能力が鍛えにくいのでやはり自分の言いたいことを言うだったり、エピソードを増やす意味でも報連相だったり、研究以外の事も色々頑張って行くのは大事かもな。って思います。

 

長々と書いてしましましたが、研究生活をうまく回していくために、モチベーション維持の参考にして頂ければと思います。

 

もう少し簡潔に書けるように後々見直していけたらと思います。